11月11日
僕は、念願かなってルームメイトとデートすることになった。
この日の出来事を忘れないよう、この日記に書き留めておこうと思う。
一応プライバシーも考えて、彼女の名前は伏せておく。
彼女は昨夜、僕たちのシェアハウスに原付(またかよw)でやってきた。
小柄でお洒落な彼女は、素敵な笑顔でこう言った。
「まいど!!」
コッテコテの関西人だ。
シェアハウスに初の女性入居ということもあり、同じシェアメイトのボーイズはテンションが上がりっぱなしだった。
なんとも品のない光景であったが、僕は違った。
僕は至って冷静。というより、なにも考えられなかったと言った方が正しいのかもしれない。
なぜなら、僕は彼女の笑顔の奥にあった物憂げな表情を読み取ってしまったからである。
『彼女にはなにかある』僕は心の中でそう思った。
僕はいてもたってもいられず、彼女にこう尋ねた。
「明日、マッサージに行こう」
そう、彼女は疲れていたのである。
大阪から原付で3時間移動の彼女と、みかん狩り3週間で疲弊していた僕とが見事にマッチングした瞬間だった。
そして今日、僕と彼女はいやしの手というマッサージ店に行った。
60分3270円(税込)のコースを選んだ僕たちは、案内に従い、施術台へと向かった。
その途中、マッサージ師のぶっとい腕と分厚い指先を見て、僕は確信する。
『ここは当たりだ』と。
予想通り僕たちの体は、マッサージ師によってめちゃくちゃにされた。
これで明日からも、高いパフォーマンスで作業できるであろう。
次に向かったのは、いやしの手の向かいにある梨花というお店。
もともと、別のラーメン店に行こうと思っていたが、このお店の外観がいかにも美味いラーメンを出しそうな雰囲気を醸し出していたので、急遽変更したのである。
店内に入り、きれいに並べられた一升瓶、使用感はあるが清潔感のある厨房を見て、僕は確信する。
『ここは当たりだ』と。
僕が注文したのは、ラーメン定食(しょうゆ)。
ラーメンと白飯、もやし炒め。
これだけではない、漬物もついてくるのだ。
味は濃いめ、みかん狩りで疲れた僕の胃袋を完全に掴んだ逸品であった。
そして、僕はそのニンニク臭い口で、
「ご馳走様でした」
と言って、お店をあとにした。
帰り際、僕は彼女にこんな質問をした。
-だれに誘われて、みかん援農に応募したの?
彼女はこう言った。
「エミリー」
出た、またあの名前だ。
そして僕は、昇天した。
-ホンディ
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